プリント基板製作手順の解説


テキスト版(言葉でまとめたもの)は こちら(別窓で開く) 課題を出したので閉鎖
文章でこの作業手順をまとめ直す課題は,2/22火曜日が期限.→顧問に提出


■使用する薬品

左が現像液(ケイ酸塩),右がエッチング液(塩化第2鉄 塩化鉄[III]FeCl3)
現像液はアルカリ性であり,手に付いたらよく洗うこと.
エッチング液は衣服につくと色が落ちないので,そもそも付着させないこと.


■現像液の粉末と溶液

粉末のものを買ってきて,学校で溶解させて使う.
(安い・ゴミが出ない)


■感光基板と感光フィルム

感光基板は遮光用の袋に封入されている.
フィルムは,PCでパターンを描きプリンタで印刷する.
感光基板は,1枚当たり500~900円程度.失敗すると痛い(サイフが).
フィルムの黒インク部分=紫外線を通さない→銅を残す部分
フィルムの透明部分=紫外線を通す→エッチングで銅を溶かして除去する


■紫外線露光用のライトボックス

ボックスの中には紫外線を照射する蛍光灯が(6本)ある.
左隣にあるのは真空ポンプで,フレームにはさんだフィルムと基板を吸着固定する.
右側のタイマーで露光時間をセットする.


■感光前の感光基板

右が感光基板の開封時のようす.感光材がうす緑色に見えている.
左は基板の銅箔そのもの.(現像に失敗したもの)
感光材は紫外線によって感光する.
蛍光灯からも弱く紫外線が出ているが,1分程度では問題ない.
だからこのように撮影できているが,出しっぱなしではダメ
(なお現在のほとんどの照明器具は「蛍光灯の形をしたLED照明器具」である)


■感光用フィルム,表裏あり

左はインクの印字面で,インクの黒色がはっきり見えている.
右はその反対側の面で,表面が白っぽい.
どちらを基板表面に向ける(接する)のか,現物フィルムの指示に従う.


■感光用フィルムをセットする

フィルムと基板の外側を一致させる.
枠をセットして,ズレていたらやり直し.
枠の上下をロックしたら,真空ポンプで空気を抜く.
フィルムの表裏を間違えてはいけない.
ミスすると,この後すべてムダ


■ライトボックスによる紫外線露光

パッケージに記載されている時間よりも長く露光します.
露光時間は,上級生か先生の指示でセットします.


■紫外線の露光が完了したところ

ほんのわずかにパターンの模様が見えます.
紫外線が当たった所の感光膜は化学変化しています.
当たった所→現像液に溶け出す
当たっていないところ→現像液には溶けない=残る


■現像処理スタート!

「現像ムラ」を防ぐため,一気に液に浸ける.
液に着水する時間がズレたら,そのズレは修正できません.ズレたまま進みます.


■現像処理が完了!

この後,すぐに水洗いをする.数分間は流水を流すこと.
そのまま放っておくと,残っている緑色のパターンも溶けてしまいます.
現像液は,後で別の工程でも使います.


■これが最初の作業です

エッチング液は「湯せん」で温めるので,お湯を沸かしておく.
エッチング液が入ったバットの下に,湯せん用のトレイを置いてお湯を注ぎます.


■エッチング処理を開始します!

全面に同時に液が触れるように,一気に入れること.
銅が見えている所→エッチング液に溶け出す=無くなる
緑の膜があるところ→エッチング液には溶けない=銅パターンが残る


■エッチング処理中

液のしずくが,はねたり飛び散ったりしないように注意.
常にゆっくりと液を撹拌すること.
バット(トレイ)の片側を少し持ち上げて,液を撹拌


■エッチングによる銅の腐食のようす

常にゆっくりと液を撹拌すること.【←大事なことは2回書く】
撹拌せず,置きっぱなし・浸けっぱなしでは,溶解は進まない.
黒い流れの流体が,銅が溶けて流れていくようすです.
縁(ふち)の部分は液がよく循環するので,すでに溶け終わっています.


■かなりエッチングが進んだ状態

液の撹拌のようすから,周囲から溶け終わっていき,中央部が最後に残る.
溶けるべきところが完全に溶けたかどうか,しっかり確認するべし.


■エッチング処理完了したところ

緑色の感光膜があるところだけが,溶けずに残っている.
エッチング液の水洗いは十分に行うこと.10分程度.


■感光膜を除去する作業に移る

銅板のパターンが完成しているが,緑色の感光膜を除去しなければはんだ付けできない.
紙やすりでこすっても落ちるが,とても手間がかかる.
しかし『紫外線+現像液』があれば簡単・キレイ!


■感光レジスト除去の紫外線露光

乾いた基板に,小型の紫外線ライトを直接3分ほど当てる.


■感光レジスト除去のため現像液に浸す

最初の現像処理では「現像ムラ」を防ぐため,一気に液に浸ける.
しかし,レジスト除去の場合は,「すべて除去」なので,部分的に現像が進んでも構わない.
なので,このような写真を撮ってみた.
完全に感光レジストを除去しないと,はんだ付けしてもはんだが弾かれてしまいます.


■廃液処理をきちんと・ていねいに

現像液は排水口に流してよい.
エッチング液は金属を腐食させるので,廃液処理業者に回収してもらう.
廃液には塩化銅が含まれるので,銅がリサイクルされる.
容器やトレイの洗浄後は10分程度,水を流しっぱなしにする.(下水配管の保護)


■エッチングの上手・下手

左は今回エッチングをしたもの.シャープにパターンが形成されている.
右は,だいぶ昔の部員の作業の失敗作.
このような失敗は[1]紫外線露光でのミス,[2]エッチング溶解でのミス,の2通りがある.


■フラックスの塗布

ここまでのすべての処理がおわったら素早く乾燥させる.
放っておくと水分で,銅の表面が酸化(さび)する.
乾燥したら,フラックスを塗布する.


■薬品系の次は,穴あけ・切断

赤矢印のように「中心のズレ」が無いように,慎重に穴あけするべし.
ドリルの刃(ドリルビット)は,主に1.0mmと0.8mmを使い分ける.
写真で見ればわかる通り,0.8mmは1.0mmまったく別物ですよね!?


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